Part2は、理論値とiOS実測データについて話したいと思います!
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|Bluetooth遅延をどのように測るか?|
普段、有線イヤホンをスマートフォンやパソコンに接続するときであっても、音声信号が出力されてから聞こえるまでに実は遅延はあります。
ただ、この間の遅延は通常100msより低い、人の耳では感知できません。それが、ワイヤレス式の無線データ伝送となると、遅延は大幅に増加します。市販のほとんどの製品におけるBluetooth音声信号システムから計測される遅延データは約200ms~300msあり、一般に70msを下回る遅延は人耳が感知することはできませんが、150msを超えるとすぐに感知できてしまいます。これこそ、多くの人がBluetoothイヤホンの遅延に不満を感じる原因となっています。
遅延の計測の際には、イヤホンだけでなく、送信側のOS(iOS、Android)にも左右されます。そこで XROUNDはBluetooth遅延の計測において、以下のような方法を採りました。
1. 理論値計測:
アナログ音声信号とBluetooth信号を同時に出力することのできる、サードパーティーのBluetooth送信機を使い、有線イヤホンとワイヤレスイヤホンの遅延の違いを測ります。2. iOSシステム計測:
iPhoneを送信側とし、高速カメラを使って有線イヤホンとワイヤレスイヤホンの遅延の違いを測ります。本文では、理論値計測とiOSシステム計測の方法を説明し、市販の完全ワイヤレスイヤホン(左右分離型)の違いを計測するテストについて、それからPart3でAndroidシステムでの計測について説明します。
Bluetooth遅延レポートの専門性、公平性、客観性を確保するため、私たちはISO / IEC17025 認証を取得しているラボ、25年以上検証を専門に手掛ける機構Allion Labに、今回のBluetooth実測を依頼しました。
|Bluetooth遅延:理論値の計測法について|
一部のワイヤレスイヤホンでは、特定の環境下における遅延に差異があるため、ラボではサードパーティーのBluetooth送信機を使って理論値の遅延を計測し、データの客觀性を確保します。
計測は下図の要領で行われます:
Step 1:PC側は3.5mmアナログ信号を通じBluetooth送信機に向け出力、映像・音声同期技術によって計測に誤差がでるのを防ぐ
Step 2:Bluetooth送信機を使って有線接続のスピーカーと同時にBluetoothイヤホンに出力
Step 3:テスト用のマイクで信号を受信
Step 4:オシロスコープ(oscilloscope)でスピーカーとイヤホンそれぞれの信号が到達するBluetooth遅延(時間差)を測る
- Bluetooth遅延 理論値計測結果 -
サードパーティーのBluetooth送信機が対応するコーデックは、aptX と SBC Bluetoothのみで、クアルコムチップを使用して完全ワイヤレスイヤホン上で作動するコーデックはaptXであるほか、送信機はデフォルトがSBCです。
最も遅延が少ないのはAERO完全ワイヤレスイヤホンで、SBCのもとで54.5msに達したA社のイヤホンでは、Bluetooth送信機に接続したときの遅延はほかの方より抑えられました。
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|Bluetooth遅延:iOSの計測法について|
iPhone11を使ってゲームアプリを起動させ、高速カメラを使って市販のうち主力の完全ワイヤレスイヤホンの遅延を測りました。ゲームアプリはタッチ操作によるため、システムの処理上必ず遅延が起きます。Bluetooth遅延を見極めるため、計測時には有線イヤホンの遅延を除外することで、Bluetooth信号伝送の遅延データを計測しました。
イメージは下図の通りです:
Step 1:イヤホン(有線orワイヤレス)をスマートフォンに接続
Step 2:ゲームアプリを起動させ、高速カメラでゲームプレイ画面を撮影、同時にマイクを使ってイヤホンから出力される音を集音
Step 3:画面の変換とイヤホンから出力する音声を比較し時間差を観測
Step 4:ワイヤレスイヤホンと有線イヤホンの時間差を計算し、Bluetooth遅延データを得る
- Bluetooth遅延 iOS 計測結果 -
最も遅延が少ないのはAERO完全ワイヤレスイヤホンで、AACのもとで46msを観測。一方A社のイヤホンはiOSに接続すると、遅延の差は理論値に比べてかなり抑えられました。
これにより、送信側が異なれば同じイヤホンでも遅延に差があることがわかります。
※iPhoneシリーズがaptXのいかなるコーデックにも対応せず、すべてAACで計測します。
まとめ:
Bluetooth遅延について、定義と技術だけでもかなりの説明を要することが分かります。Bluetoothそのものは対応幅がとても広く、このためプラットフォームによって得られる結果がかなり異なってきます。このため計測データといっても簡単に説明することに難しさがあります。
引き続きのPart3では、Androidシステムを使ってその遅延データをお届けします。どうぞお楽しみに!
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